大物主神は大国主神の別名である。その神名の示す通り、物の豊かさを身に体し給う神であり、この御神徳も物の豊かさに発揚する。なんといっても、大物主神は別名大黒様である。頭巾をかぶり、左肩に大きな袋を負い、右手に打出の小槌を持って米俵を踏まえている福徳円満な神として知られている。

葦原志男神も大国主神の別名である。アシハラは豊葦原瑞穂国(トヨアシハラミヅホノクニ)の葦原で日本の国の意。シコは頑健頑丈な、たくましくて志気旺盛さをあらわす古語である。葦原志男神には多くの異母兄弟があり、その異母兄弟はみなこころよからぬ神で、ことごとにこの神に抗した。度重なる迫害を受けながらその迫害を克服し、スサノヲの命により、「お前こそ国を主宰する大国の主となり、現世界に恩恵を与える宇都志国魂(ウツシクニタマ)になれ」と、娘の須勢理比売(スセリヒメ)を賜り、遂に出雲の国の太守となり、国土経営をなしとげたと、古事記、日本書紀はその伝記を詳細に記述している。葦原志男神は神名の由以、またここにある。

八戸掛須御諸神は御諸は御室であり、八戸掛須八方堅固な戸を掛ける意で、四方八方を堅固にかためた御室に鎮まります神との神名であって、この神も大国主の別名であるとしている。国づくりなし、治め給うこの葦原のみづほの国を平和裏に天照大神に譲り給い、身は出雲の大社にあり給う分霊を勧請して斎きまつるのがこの御坂社である